ワインづくり物語

山形村は、長野県中部の松本盆地に位置し、野菜や果物栽培が盛んな市町村を結ぶ「日本アルプスサラダ街道」が通る農業地帯です。
標高約700m、日本ワインの先進地として知られる「桔梗ヶ原」から車で15分という好立地にあります。
降水量が少なく、冷涼で昼夜の寒暖差が大きいのでワイン用ぶどうの栽培にも適しています。

伯父のぶどう園を安請け合いで引き受ける

あるとき(2011年)老いと病の伯父から「山葡萄園を引き受けてくれないか」との話がありました。私の伯父で今は亡き高山洸保(たかやま ひろやす)さんが宮田村から譲り受けたヤマ・ソービニオン(※1)を挿し木し、2.5アールにまで増やしたぶどう園です。
「教わりながらやるのならいいですよ」と安請け合いしたことから、私のワインづくり物語が始まりました。当初は、草刈り・剪定・誘引・芽かきなどきつい仕事が山ほど。安請け合いしたことをすぐに後悔。少しずつ手作業を機械化、省力化し、消毒も脱化学農薬にこだわり天然由来のものを使うようにしました。すると、仕事が少しづつ楽しくなり次第に成果も上がるようになりました。

伯父の遺志を継ぎ、ヤマ・ソービニオンでのワインづくりを決断

そうこうするうちに、「このぶどうでつくったワインを飲んでみたい」と思うように。委託醸造先にと、安曇野のワイナリーに何度も頼み込み、承諾をしてもらったのがオリジナルワインづくりの始まりです。当初、収穫したぶどうの大半を安曇野のワイナリーに運び込ませていただきました。1年後、ワインが仕上がったとの連絡。弊社は代々酒屋を商い、酒販免許を持ち、現在セブンイレブン信州山形店を経営。とりあえず100本を店頭で販売。希少価値の山葡萄のワインであることもあり、すぐに完売しました。2年目200本、3年目400本、4年目500本なんと全て完売です。山形村の新そば祭りでの出店販売でも地元産ワインというめずらしさもあって、飛ぶように売れました。
いつのまにか「これは、自前のワイナリーをつくるしかない」と思うようになっていました。ちょうどその頃、友人から村内に使われていない工場を安く貸してくれると申し入れがあり、これは天のおぼしめしと思い、ワイナリーの開設を決意しました。

ワイナリーづくりの苦難と戦う2年間

ところが、いろいろ調べるとかなりハードルが高いことが分かってきました。とにかくお金と経験と酒製造免許が課題。そこで、事情に詳しい村の商工会0 さんに相談。「酒製造免許を取得するには最低6 トン醸造しなくていい
けない、ただ、ワイン特区に認定されると2 トンで大丈夫だ」。ワイン特区は村が認定されないといけないということ。早速2 人で村長にアポ。ワインづくりの夢、魅力的な村づくりへの貢献を語りました。「村は全面協力します。」
の確約をいただきました。「ワイン特区」を取得することで、ワイン醸造施設が増えれば、村人の雇用創出や人口増加にもつながるかもしれないし、ぶどうのほかにも山形村特産のりんごをシードルにすれば新しい特産もできるはず
だと、自分の夢とともに、村の将来も考えてのことでした。

 それから1 カ月書類づくりに没頭しました。2013 年11 月のことです。
2013年12月 特区申請書類が完成
2014年 1月 内閣府に提出
2014年 3月 特区認定
2014年11月 総務省の循環型支援金が認可される
2015年 3月 工場の準備が進む
2015年7月 酒製造免許取得
2015年8月~シードルづくりのためのりんご集め開始
2015年9月 りんごの搾汁始める
2015年11月 シードル出荷開始(ほぼ完売)

 特区の認可が降りると、ステンレスタンクの販売業者を介して、醸造家の横町崇さんと出会います。横町さんは新規開設のワイナリーやヴィンヤードの求めに応じて技術を
全国に伝え歩いている醸造家。「ワイン造りは農業」という思いを胸に土づくりからぶどう栽培を管理し、最低限の農薬で品種の特性を生かすワイン造りを伝えるのみならず、ご自身も広島県三次市にてワイナリー開設を視野にいれ「ヴィノーブルヴィンヤード」を運営しています。
「山形村は、長芋の産地というだけあって、黒ボク土で水はけが良い。また、表土が厚く、目の細かい土なので、ワイン用ぶどうに適した土地だと思います」と、横町さんに言っていただく。
「あまり酸っぱくない、飲みやすいワイン」を目指してヤマ・ソービニオンの赤ワインとロゼスパークリングワイン、山形村産の「つがる」や「ふじ」を使ったシードルが初めての自社ブランド。2015 年、初めて仕込み・販売を開始しました。

 現在、小りんごのメイポールの畑、シャルドネ・ソービニオンブラン畑、ヤマ・ソービニオン畑、メルロー
畑から、多彩なワイン・シードルを醸造しています。
2018 年夏に開催された「ジャパンシードルアワード」「フジ・シードル・チャレンジ2018」で当ワイナリーのシードル2 銘柄が入賞。醸造を始めて4年目、徐々に努力の成果も出はじめています。
大池ワインのワインは山形村の「セブンイレブン信州山形店」でも購入できます。

■セブンイレブン信州山形店
〒390-1301 長野県東筑摩郡 山形村1721-1
TEL 0263-98-3045

■大池ワイン
所在地 長野県東筑摩郡山形村2551-1
TEL 0263-55-6100

有限会社むかいや(大池ワイン)
代表取締役 藤沢 啓太(ふじさわ けいた)